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カラマーゾフの兄弟が売れる理由

カラマーゾフの兄弟を読んだことがない人のほうが圧倒的に多いだろう現代ですね。いま光文社の文庫で先ごろ完結した新訳カラマーゾフの兄弟がなんと異例の26万部を突破したというのだから驚きです。

カラマーゾフの兄弟といえば文豪ドストエフスキーの最晩年の作品でありもっとも重要とされる作品ですが、思想的にも難解でとてもじゃないですが普通の現代日本人に読み通せるものではありません。

カラマーゾフの兄弟を読むことができる人は、人類とは、社会とは、運命とは、神とは、と自問自答して、真剣に悩んでいる人だけですね。社会と自分の問題をちゃんと考える人だけがカラマーゾフの兄弟に共感するのでしょう。

しかし、カラマーゾフの兄弟が26万部も売れたということの背景には、現代の世相を反映するような要因があるに違いありません。

カラマーゾフの兄弟を新訳で読める、しかも曲者として知られる亀山氏の翻訳です。亀山氏ならではのカラマーゾフの兄弟をじっくり堪能したいものですね。


新訳「カラマーゾフの兄弟」異例のベストセラー 混沌の時代、生きるヒント

8月22日16時38分配信 産経新聞

 ■男女の愛憎、幼児虐待、テロ…現代に通じるテーマ


 ロシアの文豪、ドストエフスキーの名著「カラマーゾフの兄弟」の新訳本が26万部を突破し、古典文学としては異例のベストセラーとなっている。最終巻が出版された7月にはインターネットの文芸本ランキングで4週間連続のベスト10入り。旧訳本も相乗効果で売り上げを伸ばす。ミステリーとしてのおもしろさはもちろん、男女の愛憎や幼児虐待、テロリズムなど現代にも通じるテーマが、混とんとした時代を生きる現代人の心をとらえているようだ。


 ≪26万部突破≫


 「カラマーゾフの兄弟」は、1880年に出版されたドストエフスキー最後の長編小説。新訳は東京外国語大学教授の亀山郁夫氏が担当し、光文社古典新訳文庫から昨年9月、第1巻が出版された。

 新訳は全5巻。同社によると、これまでに計26万5000部を達成。同社翻訳出版編集部の川端博さんは「古典文学としては異例の売り上げ。増刷も決まり、30万部は固い」と期待を寄せる。

 最終巻が出版された7月中旬以降、インターネット通販「アマゾン」の文芸本ランキングで4週連続のベスト10入りを果たす人気ぶり。アマゾン広報も「古典文学のランク入りは珍しい」と話す。


 ≪東大教授も推薦≫


 世界文学の傑作のひとつと評される同著。日本でも、これまでに数多くの翻訳が出されているが、現在、市販されているのは、光文社の新訳のほかに、岩波文庫(米川正夫氏訳)と新潮文庫(原卓也氏訳)がある。

 新潮社営業部の河井嘉史さんは「光文社の新訳が出版される前から、ブームの兆しはあった」と話す。

 新潮社は、東京大学教授が新入生に読ませたい小説ナンバーワンに同著が選ばれているという東大出版会の月刊誌「UP」のアンケートに着目。芥川賞作家の金原ひとみさんが「上巻を読むのに4カ月。中、下巻はほぼ3日で読み終えた」と紹介した新聞書評にも目をつけ、昨年6月、文庫本の帯を作成したところ、これまでに、上、中、下巻合わせて約13万1000部と、爆発的に売り上げを伸ばしたという。

 河井さんは「帯と新訳本の相乗効果かもしれない」と話す。


 ≪なぜ今なのか≫


 なぜ今、「カラマーゾフの兄弟」なのか。

 光文社の川端さんは「亀山氏の新訳がリズムと勢いがあって読みやすく、若いころに読んで挫折した団塊の世代が読み直しているとともに、巧みな仕掛けがちりばめられたミステリーとしてのおもしろさが若い人に受けている」と指摘。そのうえで「19世紀末に書かれた作品だが、扱うテーマが、男女の愛憎、幼児虐待、テロリズム、父子・兄弟関係や貧困、宗教、国家など、現代にも十分通じている」と分析する。

 新訳を手がけた亀山氏も「この作品には運命とは何か、暴力とは何かという抽象的なことを、生々しく自分のこととして経験させる吸引力がある。運命を描くことで人間の存在の小ささを、また罪を描くことで人間の存在の大きさを表現している。人間の残酷さを直視して作品を書いたドストエフスキーの問題意識には現代性がある」と話している。

         

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